湯の山に伝わる折鶴伝説

ときは江戸時代のころの話。上方(現在の大阪)の商人の家に生まれたひとり娘である葵(あおい)は、店の使用人佐吉と恋に落ちてしまいました。当然その時代、身分の違いで許される恋ではありませんでした。思い詰めたふたりは、許されぬならあの世で一緒になろうと、心中を図ろうとさまよい、湯の山温泉に辿り着きます。そして、ふたりが蒼滝に身を投げようとしたその時、ひとりの僧兵(寺院の警護僧)があらわれ、ふたりに向かって、温泉に浸かって、もう一度考え直してはどうかと言って励ましました。

ふたりは湯の山温泉のお湯に浸かり、心中する事はやめようと思い直し、あくる日に僧兵にお礼を言うため“三嶽寺”を尋ねました。ところが、僧兵は見当たりません。ふたりはせめてものお礼にと、千代紙で折り鶴を折り、お寺に奉納しました。すると折り鶴はひらひらと舞い上がり、天にめがけて飛び立っていったといいます。数年後、夫婦になったふたりが三嶽寺の住職を尋ねたところ、ここ何十年も僧兵はいないとのこと。あの僧兵は仏様の仮のお姿だったとふたりは思いました。そしてふたりは末永く幸せに暮らしましたとさ。
(湯の山温泉公式HP 恋結び折り鶴伝説より)

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